時期ごとの入試対策
高校受験の対策はいつから始めるべき?
はじめに
高校受験は中学校の勉強の集大成とも言えるライフイベントです。遅いよりは早いほうがいいとは思いつつも、実際のところどのくらいの時期から本格的に受験対策を始めたらいいのかわからず、不安なご家庭もあるでしょう。
今回はそういった親御さんやお子さん向けに、高校受験が行われる時期や受験勉強を始める時期の目安、学年別の勉強の進め方・効果的な勉強のポイントについて解説します。
受験が行われる時期はいつから?
高校受験が行われる時期は、私立高校か公立高校かによって差があります。逆算して受験勉強のスケジュールを立てるためにも、まずは志望校の試験時期を把握しておきましょう。
私立高校
1月上旬から2月中旬
私立高校の場合、先がけて推薦入試が1月上旬から2月上旬にかけて行われ、続けて一般入試が1月下旬から2月中旬にかけて行われます。受験時期としては公立高校より私立高校が先となっていることもあり、本命の公立高校と併願で少しレベルを落とした志望校を受験する、いわゆる「滑り止め」として扱われるケースもあります。
公立高校
1月下旬から3月中旬
公立高校の場合は、私立高校の入試日程より少し後、1月下旬から2月上旬にかけて推薦入試・前期試験が始まり、一般入試・後期試験は2月下旬から3月中旬までが多くなっています。公立高校に合格した場合、原則として必ず入学しなければならないことから、併願先で合格した私立高校への入学・辞退は慎重に検討する必要があります。
受験勉強はいつから始めるべき?
上に述べたように、志望校によっては年明け早々に待ち受ける高校受験ですが受験勉強は一体いつから始めるのが望ましいのでしょうか。
始めるのは早ければ早いほど良い
言うまでもないことかもしれませんが、勉強を始めるには早ければ早いほど効果的です。どんな高校を受験するにせよ、基礎固めはまず一番にしておきたいことです。また、難関校など学力レベルの高い高校に合格するために必須となる応用力も、基礎がしっかり固まっていなければ伸ばすことは困難です。そして基礎固めにどれほどの時間がかかるかは個人差があるため、いつから始めれば間に合うのかは、実際のところ取り掛かってみないことにはわかりません。目安として自分の学力を知っておき、今後のプラン作成の目処をつけておくためにもできる限り早めに手をつけましょう。
部活動に集中する場合は3年生の夏休みから
部活動は地道な努力や集団行動・リーダーシップなどを養う経験として、内申点とともに推薦入試で評価されることもあり、できれば勉強と両立させたいという親御さんも多いのではないでしょうか。一般的に、中学生の部活動は3年生の6月から夏休みの時期に引退となるため、それまでの学力を部活動に影響の少ない学校の授業や自学自習で蓄え、引退となる夏休みから受験対策に注力するというルートも十分選択肢に入ってきます。ただし部活と両立して難関校を目指す場合、夏休みから年明けまでの短い期間で基礎力のみならず応用力までも鍛え上げるのは、よほどの集中力がある生徒さんでないと困難でしょう。基礎体力やスポーツの技術と同様に、学力もある日突然身につくものではありませんから、部活動の引退までにある程度基礎を盤石にしておくぐらいの気持ちで臨みましょう。
学年別高校受験に向けた勉強の進め方
ここまでは勉強の進め方を大まかにご紹介してきましたが、本項では学年別に分けて効率的な勉強の進め方を解説します。
中学1年生 内申点対策を重視する
中学1年生の時期の勉強は、以降の土台となる基礎的な内容であると同時に小学校と比べて学習内容が高度になっていくひとつの節目です。そして最終的に内申点として評価対象となる最初の時期でもあります。つまり、この中学校生活の最初期から高評価を目指しておくことが、後々の応用力の育成と内申点対策につながるのです。後ほど勉強のポイントでも解説しますが、早いうちから勉強を習慣づけておくためにも、まだ復習の範囲もそれほど広くないこの時期から徐々に習慣化を始めるのが得策でしょう。
中学2年生 1~2年生の復習を進める
一部の難関校を除き、入試問題の多くは1~2年生で学習する基礎的な範囲から出題されます。また、難関校を目指す場合に必要となる応用力を育む観点からも2年生の早い段階からしっかり基礎を固めておきましょう。この時期に重要なのは、わからない部分をわからないままにしておかないことです。これも後述しますが、特に部活動や委員会活動に力を入れている生徒さんの場合、1~2年生の勉強内容でわからない部分を放置したまま3年生に進んでしまうと、引退までのスケジュールとの兼ね合いから復習の機会がかなり後回しになってしまう可能性があります。
学期末や長期休暇中は復習のチャンス!
復習のターゲットを絞りきれず大がかりな総ざらいにならないように、2年生で学習したことに加えて、1年生の範囲を改めて復習しておきましょう。学期末や長期休暇中は、まとまった時間が取れるだけでなくテストや通信簿・評価の結果からわからない部分が割り出しやすいため、個別撃破で復習に取り組むチャンスとなります。その期間を上手く有効活用してみましょう。
中学3年生・前半 定期テスト対策を重視する
中学3年生になるといよいよ受験勉強に集中したいところですが、部活動では引退前の最後の大会・試合・発表会などに向けた活動が本格化し、委員会や学校行事では高学年なりの責任を持つこともあり、なかなか思うように労力を割けない場合もあります。2年生のうちの復習が重要とお伝えしたのはこのためです。
そのため、当面は無理な両立をせず内申点の維持を目的として定期テスト対策に重きを置くのが効果的です。時間的に余裕ができて受験勉強に専念できるようになったら、改めて本腰を入れましょう。
中学3年生・後半 ニガテ教科の対策を重視する
3年生の後半、受験も間近に迫る時期には教科書のカリキュラムもほぼ終わり、予習できる範囲がほとんど残っていないことが多く、得意教科の伸びも頭打ちになっていると思われます。
一方、模試の結果などで自分のニガテ教科・単元が明確になってくるはずですから、浮いた時間はそちらの対策に力を入れるのがよいでしょう。ニガテな分野・単元さえ絞れていれば挽回は不可能ではありません。例えば国語なら古文・漢文がニガテ、英語はリスニングがニガテというように過去の振り返りから判明していれば、一点集中で成績向上を果たせる道が残されています。
対策おすすめの教科は社会と理科!
また、それまで培ってきた基礎力が問われる国語・数学・英語の3教科と異なり、社会・理科は暗記の比重が大きい教科の代表格であり、ニガテであっても比較的短期間で得点を伸ばしやすいと言われています。
特に社会は、理科とは違って化学反応式やモル濃度・運動エネルギーといった計算問題がなく丸暗記が可能なことから、勉強法次第で大幅な加点が見込めます。
この2教科いずれかに穴があるようであれば、この時期に徹底的に対策しておくことで、まだまだ総合点を向上させられる可能性があるでしょう。
早めに準備しておきたい3つのポイント
早め早めの取り掛かりが重要となる受験勉強の中でも、特に早くから準備しておくべきポイントを3点ご紹介します。
勉強習慣をつけよう
勉強を毎日の習慣にすることで、着手時の心理的な抵抗をなくし少ないストレス・低いハードルで勉強を始められるようになります。効率の良く習慣をつけるためには少ない分量・短い時間から徐々に勉強をはじめ、それを1~2ヶ月程度継続することが有効とされています。極端な話、1日目はとにかく決めた時間に机に向かうだけでもいいでしょう。勉強を続けていく中で、徐々に目標設定を細かくしたり、時間を伸ばしたりすると無理なく習慣化ができるはずです。この習慣を早くから身につけておくことで、基礎学力の定着などが早まります。例えばテスト前1週間、毎日の勉強に30分ずつテスト対策の時間を増やせば、それで3時間半の一夜漬けと同じ勉強時間になります。無理な一夜漬けをして理解不足・睡眠不足のままテスト当日を迎えないよう気をつけましょう。
得意科目をつくろう
好きな科目や点数を取りやすい得意科目があると、自分がしてきた勉強の成果が可視化されるため、自信をつけることができます。また、1科目でも勉強が楽しいと思える科目があれば、他の科目を勉強するモチベーション向上にもつながり、成功した勉強法をニガテ科目に活かすことも考えられます。そして元から得意、あるいは好きになった科目は知識を円滑に吸収しやすくなるため、比較的軽い復習だけでも高得点を目指すことができるでしょう。そうなれば、浮いた時間をニガテ科目の重点的な復習に振り分けられるため、全体として見れば得意科目の存在が勉強を効率化してくれると言えます。
塾や学習サービスを活用しよう
高校専門の受験対策コースがある塾や、講師付きの自習室が近辺にある場合はぜひ活用しましょう。環境が整っており集中して勉強できることはもちろんですが、わからない部分があるときに学校外であっても講師にすぐ質問できることが特に重要な点です。科目別の合格ノウハウが蓄積された塾講師であれば、基礎から応用まで幅広く質問に対応してくれることでしょう。また、「自宅や図書室などでは集中できない」「部活動などで塾に通う時間が取れず習慣化が難しい」という場合には、家庭教師などの学習サービスもおすすめです。習慣づけに最も重要な『時間を決めて取り組む』ことに効果的なほか、コミュニケーションを通じて勉強へのニガテ意識を軽減したり、自分に合う勉強法を見出したりする効果も期待できます。
おわりに
早ければ1月から始まる私立高の推薦入試まで考えて受験勉強を始めるには、内申点のことも考慮すると中学1年生時点からの下準備が大切です。また1~2年生時は部活動に集中し、3年生の夏休みから本腰を入れる場合でも、学習を習慣化して普段から基礎を固めておくことが重要になります。
今回ご紹介したような時期別の対策ポイントを押さえつつ、必要に応じて塾や家庭教師などの学習サービスを利用するのも効果的です。
得意科目はどんどん伸ばし、ニガテ科目はこまめな復習で補って志望校合格を目指しましょう。